王棋聖が勝負強さを見せて囲碁界ナンバーワンの座を守った。長野市の長野ホテル・犀北館で行われた第二十五期棋聖戦七番勝負の第六局。激戦を制した王棋聖はほっと肩で大きな息を吐き出した。
午後七時四分、終局。両対局者が盤面を整理して、記録係が黒五目半勝ちを確認した。両者しばらく無言、やっと王棋聖が小声で話し掛けて感想戦が始まったが、その時間はわずか十分ほど。王棋聖がインタビューでやっと笑顔を見せたのとは対照的に、敗れた趙九段には、互角の戦いをしてきただけに、言葉の端々に無念さがにじんだ。
右下と左上で白が実利を取り、黒が右辺の模様で対抗したこの碁は、二日目になって黒が87、91と右上と中央の白の連絡を絶ってから、中央の白のシノギを巡って激しい攻防が展開された。
黒95で37の下に並んでいれば黒が楽だった。また119では131と右下の黒五子を捨てて打てば、黒の右辺がまとまり、優勢だった。
白120のノゾキが好手で、予断を許さない形勢になったが、黒は右辺を荒らされた替わりに中央の白四子を取り、難解な戦いを逃げ切った。
今シリーズは互いに先番、白番を入れあって追いつ追われつの展開になった。勝敗を分けたのは第五局。趙九段必勝の局面だったが、王棋聖の勝負手が奏功してまさかの逆転負けし、流れは王棋聖に傾いた。
王棋聖の碁は、プロでも予想がしにくいといわれる。優勢な時の足の速い打ち回し、非勢の時の紛れを求めて勝負手を連発する度胸のよさ。その足の速さは第二局が好例だ。趙九段は迫力ある攻めと粘り腰を発揮したが、わずかに及ばなかった。
王九段の話「ずっと厳しい形勢でした。七番勝負も難しい戦いばかりでしたが、第五局に勝って流れがきたかなと思いました。」
趙九段の話「難しくなったとは思いましたが、もっと頑張らなくてはだめでした。」
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