大津市の琵琶湖ホテルで行われている第二十七期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)、王立誠棋聖(44)と山下敬吾七段(24)の第三局は六日午前九時再開され、午後六時六分、先番の王が四目半勝ちした。これで今期七番勝負は王の一勝二敗に。
大津市は朝から雪。雪粉が湖面をかすませる。王は定刻三分前に入室。前日と同じく、挑戦者に先だった。直後に山下も入室。
王の前夜の食事は和食。食後はいつも通り、ウーロン茶を飲みながら関係者と雑談して過ごした。山下は近江牛のすき焼き。割り下を用いず、砂糖を直接鍋に敷いて、その焦がした風味を味わう作り方に感心していた。
午前九時、立会人の石井邦生九段が王の封じ手黒67を開く。中央の大石の生きを確かめるこすみ。前日の控室では、中央はしのぎありと見て、右下隅の締まりに回るという予想だっただけに、検討陣を驚かせた一手だった。「王棋聖はよほど形勢に自信を持っているのではないか」との声があがった。局後、王は「白38にこすみ出されたら難しいと思った。しかしやはり右下隅の締まりだったか」と語った。
当然ながら、山下は当然ながら右下隅にかかった。中央への攻めがなくなった以上、譲れない着点だ。王は黒69と下辺二間開き。白から一路左へ詰められてはたまらない。解説の長谷川直九段は「必然の一手です」
山下は右下隅に両がかり。王は隅での生きを求めた黒71のこすみ付けで応じた。上付けでは、割り込みなど、まぎれる可能性がある。白はこすみ付けられた70を伸びれば普通だが、山下は白72とすべった。両者の思惑がぶつかり合う。
右下隅は黒75のはね上げから、黒は右辺、白は隅を取る分かれになるかと思われたが、王は黒93とこすみ、簡単には隅を譲らない姿勢をとった。隅の黒5、71の二子が飲み込まれ、隅に白のほっこりした地がついては地合で遅れる。
ここから隅の黒石の生死をめぐる戦いに。この折衝は黒が生きて戦局は一段落。
ここで山下は再び中央の黒大石に迫ったが、白124と切ったことから、黒に手番が回った。王はすかさず黒129から左下隅を先手で決めたうえ、黒133とつけ、左上隅も先手で寄せた。さらに黒139と右上隅のこすみではっきりとリードした。山下は中央から左辺にかけて約五十目の地をまとめたが及ばなかった。
第四局は十九、二十日、宮崎市の宮崎観光ホテルで行われる。
王棋聖の話「打ち掛けの時点では勝つのは大変だと思っていた。右上隅のこすみが打て、少し残るかと思った。一勝できほっとしている」
山下七段の話「一日目は少し甘いかと思っていた。中央の黒に先手で生きられ、寄せも先手で打たれ、ひどかった」
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