東京・パレスホテルで行われていた第二十七期棋聖戦七番勝負、王立誠棋聖(44)と挑戦者、山下敬吾七段(24)の第一局(読売新聞社主催)は十七日午後七時四十六分、二百八十三手で白番山下が六目半勝ちした。あくまでも手厚い打ち回しで、初めての二日制対局を制した。
実利で先行する黒。厚みを築く白。両対局者の棋風がはっきりと出た一局だった。
戦いは、右辺の白模様に臨んだ黒をめぐる攻防から始まった。この折衝から山下は幸便に上辺に侵入。さらに74と中央黒を脅かした。これに対し黒は生死不明の中央を放っておいて75と左辺へ展開した。中央への攻め含みで左辺に白地を作られては地合が足りないとの判断だった。
しかしこれで中央と左辺がからみ模様に。この黒の二つの大石の生死をめぐり、控室の検討陣も「答えが出せない」という難解な局面に突入した。
両対局者とも時間を惜しみなく使って読みふける。王は百三十九手目から秒読みに。「まいった」などとのぼやきをこぼす。
山下は大石を直接取りにはいかず、検討陣が感心するほど手厚く打ち進める。山下も百七十四手目から秒読みに入った。
結局、王は両方の石をしのぎ切った。山下も下辺を地にし、さらに厚みを背景に黒地に寄りつく。
両者秒読みの中、神経を使う寄せ勝負となり、最後は山下が盤面でも一目余した。
第二局は二十九、三十日、福島市の「摺上亭大鳥」で行われる。
山下七段の話「黒の二つの大石に生きられた時は、足りないかと思った。最後まで勝ちは見えなかった。一日目は少し甘かったかもしれない」
王棋聖の話「大石を生きたときは少しいいかと思っていた。上辺につけられてからおかしくなった」
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