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◆第一人者に挑む新星 第27期棋聖戦 16日から七番勝負 ![]() ![]() ◆第1局は東京・パレスホテルで
◆小林覚9段と片岡聡9段が分析 白星スタートなら立誠か − 小林 混戦になれば山下に勝機 − 片岡 ![]() ――最初に今期リーグ戦を振り返ってみたいと思います。まず、柳時熏7段が5勝0敗で突っ走ったAリーグから。 片岡「柳7段の完勝というイメージです」 小林「どの碁もがっちり勝ち切っていた」 片岡「羽根天元も3連勝と好発進でしたが、後半失速してしまいました」 ――依田名人が前半で柳7段、羽根天元に連敗し、挑戦者争いから脱落したのは意外でした。 片岡「2連敗スタートでは、やはりだめですね」 小林「調子もあまりよくなかったのでは」 ――次にBリーグです。混戦で、山下7段が大逆転で挑戦者決定戦に進みました。 小林「第2戦の張栩戦に敗れましたが、その後の踏ん張りがすごかった」 ――張7段は最終戦で趙王座に勝てば、決定戦進出でしたが。 片岡「らしくない負け方でした。いままで見たことがありません」 小林「直前に行われた韓国での棋戦で半目負けし、そのショックと疲れが相当残っていたのでは。いつも苦しくても頑張って逆転しているのに、あっさり土俵を割ってしまった」 ――趙治勲さんは最後に張さんに勝って残留を決めました。 片岡「ただ、最終局を迎えて1勝3敗というのは意外でした」 小林「最低でも挑戦者争いに絡んでくる人だけにね」 ――挑戦者決定戦は山下・柳戦になりました。 小林「山下さんが粘って逆転に持ち込んだという声が多かった」 片岡「柳さんは中盤に入ってだいぶ損をしたようです」 ――山下さんの碁の印象は 小林「思い切りがいい。形勢が悪くなっても自分で局面をつくり、打開する力があります。布石で第1着を天元に打つなどの極端さはなくなりました」 片岡「もうやるつもりはないようです。ただ、七番勝負では1局ぐらいあるかもしれませんが」 ――24歳という挑戦者は過去最年少。2日制の七番勝負も初めてです。 小林「心配ないでしょう。鍛え方が違う。楽しめるぐらいの感触があると思う」 片岡「2日目の後半は疲れが出るものですが、若いのでそれもないでしょう」 ――今年の成績は8割近い勝率です。 片岡「彼の場合、まわりがそれで納得してしまうのがすごいところです」 ――一方、王立誠棋聖は昨年負け越しです。 片岡「あまり調子が良さそうに見えません」 小林「本人もそう言っています。ただ、私はこの成績は参考にならないと思う。七番勝負は全然別のものです。立誠さんは棋聖戦にすべてを合わせているでしょう」 ――王棋聖、山下7段はこれまで山下さんの勝ち越しです。 片岡「対局数が少なく、そのデータでどうこうは言えませんが、印象としては立誠さんが打ちにくそうに見えます」 小林「最近の負け方を見ると、特にそうですね」 ――七番勝負の展開をどう予想しますか。 片岡「立誠さんが先に稼いで、山下さんが追い込む流れになるでしょう」 小林「やはり立誠さんが黒なら走るでしょう。薄みを山下さんがどうとがめるか」 片岡「立誠さんの持ち味はスピードです。混戦に持ち込めば山下さんのチャンスが広がるのでは」 小林「山下さんはとがめ方が厳しいですから。立誠さんが山下さんと打ちにくくしているのも、そこのところでしょう」 片岡「しかし立誠さんはちゃんと対策立ててきますよ」 小林「どっちがはっきり勝ち、と言える碁にはなかなかなりません」 ――それでは勝負の行方をズバリ予想して下さい。 小林「出だしが大切です。山下さんが2勝すれば相当いけます。最初に立誠さんが星をとれば、経験者の強みが出てきます」 片岡「やはり出だしがポイントですが、立誠さんが山下さんを打ちにくそうにしていることから、私は山下さんに乗りましょう」 小林「2人とも局面をあっさりさせません。単調な手は決して打たない。少し悪いと思えば、微妙なところ、微妙なところと打ってきます。相当面白い勝負になることは間違いありません」 ◆2人の対戦成績 (王棋聖の1勝4敗)
◆王 立誠 棋聖 「一局一局粘り強く」 いま絶好調の、最強の挑戦者が出てきたと思っています。山下さんは手厚く打って攻めるタイプで力が強く、集中力もすごい。これまで負け越しており、大変な七番勝負になると覚悟しています。 調子はまずまず。昨年は負け越しましたが、こんなもんかな、とも思っています。棋聖、十段の防衛戦で力を使い果たした感じもあるし、相手は強敵ばかりでしたから。ただ、ちょっと粘りが足りないかなという反省もあり、これから七番勝負に向けて、ベストコンディションに持っていくようにしたい。 今期は4連覇がかかっていますが、自信は全然ありません。防衛のことは考えず、負けないように一局一局粘り強く全力で打つつもりです。 1958年11月7日、台湾生まれ。71年来日、72年初段、88年9段。95年、王座戦で初タイトル。98年から王座3連覇。00年趙治勲棋聖を下して棋聖となり、現在3連覇中。01年から十段2連覇中。昨年の成績は23勝26敗。 ◆山下敬吾 7段 「自分の碁しっかりと」 子どもの時からの夢だった舞台に立つことができ、とてもうれしい。 リーグ戦で最初に1敗したので、残留することを目標にしていたのですが、最終戦に勝って挑戦者決定戦に出ることを知り、びっくりした。運が良かった。 自分の碁はぐちゃぐちゃの力碁です。布石は駄目で、それをごちゃごちゃやってごまかしている。成績の割にはいつも難しい碁になっています。 王棋聖は中盤が強い。いいと思っていてもいつの間にか勝負形に持ち込まれているので、中盤の戦いで負けないように、しっかりと自分の碁を打ちたい。 2日制の対局は初めてなので、勝手が分かりませんが、体調管理をきっちりとして、大きな舞台を楽しみたいと思っています。 1978年9月6日、北海道旭川市生まれ。小学校2年で全国少年少女大会で優勝し、93年初段、00年7段。98年から新人王戦4連覇。00年、小林光一碁聖を下して初タイトルを獲得。名人、本因坊リーグに在籍。昨年の成績は61勝17敗。 ◆リーグ戦結果
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