第28期 棋聖戦七番勝負 第1局(アメリカ・シアトル) |
山下敬吾棋聖(25)と羽根直樹天元(27)の第一局は十六日午前九時(日本時間十七日午前二時)米シアトルのザ・フェアモント・オリンピック・ホテルで再開され、午後四時五十四分(同午前九時五十四分)百七十九手までで羽根天元が中押し勝ちし、一勝目をあげた。
立会人の石田芳夫九段が開いた羽根の封じ手は黒67のこすみ。あくまで地で勝負という辛い一手。控室では、今後の戦いを見越して中央方面へ打つ手も検討されていたが、羽根らしい一手と言える。解説の小林覚九段は「地合ではっきり挑戦者が先行しているが、棋聖の中央勝負を誘い、こわい面もある」とした。
山下は予想していたかのように、すぐに白68ののぞき、そして白70と黒63の左につけた。やはり中央での勝負を明確にした。白70を黒63の上につけるのでは、そのまま横に伸びられ、地合で足りなくなる。横つけは、黒が上に伸びれば下を押さえ、退路を断つ強手を見ている。このままでは地合で間に合わないと見た勝負手でもあった。
羽根は冷静に黒71の下はね、山下は白72から止めにいったが、羽根は黒73と無理はしない。地合では負けないとの自信も感じられた。
控室ではこの時点で「盤面で黒が十目リード」の判定。山下はその後も目一杯に頑張ったが、羽根が堅実に応じ切り、最後は右辺の大石を葬り、決着をつけた。
羽根天元の話「一日目に真ん中が結構消えたので、打ちやすいとは思っていたが、最後まで自信はなかった。二局目以降も全力で打ちたい」
山下棋聖の話「最初から全然だめだった。白12も、これで一局打ってみようか、という気分だったが、甘かった」
第二局は二十八、二十九日、福岡市中央区のホテルニューオータニ博多で行われる。
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